「フィンの基礎知識」サーフボード

フィンの基礎知識

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フィンは、サーフボードのパフォーマンスに大きな影響与えます。

この記事では、フィンの性能を決めるテンプレートの要素「ベース(Base)、デプス(Depth)、スウィープ(SWEEP)、エリア(ARIA)」とフォイル(FOIL)、マテリアル(素材)、サイズ、各フィンシステムの特徴、フィンの本数による乗り味の違いについての基礎知識を学べる内容となっています。

基礎的なフィンの知識・役割や特徴を知ることで、サーフィン時のフィンの影響力・重要性、そして奥深さが理解できます。

そして、あなたのサーフィンスタイル、サーフボードに適したフィン選びにもつながることでしょう。

筆者は、2008年からサーフショップオーナーとして新品・中古サーフ用品を2500点以上取り扱ってきた経験をもとにサーフアイテムやハウツーなどのサーフィンに特化したウェブマガジンを運営しています。

フィンとは

フィンはサーフボードの舵取りの役目をしてくれます。フィンの数や大きさ、形状でターンやスピード性などのパフォーマンスに大きな影響を与える重要な役目を持っています。

フィンの各部要素について

フィン選びをする上で、知っておきたい基礎知識として大きく分けて「テンプレート」「フォイル(FOIL)」「マテリアル」「サイズ」4つがあります。

これらのフィンの各部要素がどのような役割をし影響を与えるのかを知ることで、フィン選びの参考になると考えます。

テンプレート

フィンの「テンプレート」とは下の画像のようなアウトラインにあたる部分。ベース(Base)、デプス(Depth) または高さ、スウィープ(SWEEP)またはレーキ(RAKE)、エリア(ARIA)という各部に名称があり、フィンの性能を決める要素があります。それぞれの要素がサーフィンのパフォーマンスに影響するわけですが、最終的には5つの要素の総合的なバランスでテンプレートの特性が決まります。

フィンの各部名称(BASE /DEPTH/SWEEP)

ベース(Base)

Baseとはフィンの付け根の幅を指します。

フィンサイズにはベースのサイズが記載されていると思いますが、一般的に一番根元の部分の幅となります。ターンのドライブ性能に影響を与えます。

このベースの幅が広いとドライブ性が高くなり、安定性にもつながる。逆に狭いとドライブ性能が低くなりテールが流れやすく(ルース)なる。

デプス(Depth)

Depthとはフィンの深さ(Depth)または高さ(Height)のことで、おもにターン時のホールド性能に影響を与えます。

このDepthが深い(高い)ほどホールド性が高く、逆に低い場合はホールド性が落ちスライスしやすくなります。

スイープ(SWEEP)

Sweepとは、フィンの後方に向けて延びたフィンの反りの角度を指します。

主にターン性能に影響を与えます。

反りが強いほどターン時に粘りが生まれる為、ドライブの効いた大きなターンが可能。リーフブレークポイントなどでよくある、波のウォール(壁)が沢山ある場合に相性が良く、広いウォールを最大限に生かした伸びやかで大きなターンが可能となります。

逆に反りが弱いと、抵抗が少なくなる為、回転性が良くなりタイトなターンができます。ビーチブレークによくある、波のウォール(壁)が少ないコンディションなどでは、よりタイトなターンが要求されますので相性が良い。

フィンの要素「SWEEP(RAKE)」の角度・反りの強さの比較

FUTURESフィンでは、テンプレートの特徴をより理解しやすいように反りが強いテンプレートをRAKE(レーキ)反りが弱いものをPIVOT(ピボット)、中間くらいをNEUTRAL(ニュートラル)としカテゴリー分けしています。

FUTURES fin テンプレートカテゴリー(RAKE/NEUTRAL/PIVOT)

よくRAKEなフィン、PIVOTなフィンという言い方で説明する方もいますので…覚えておくといいでしょう。

エリア(Area)

AREAはフィンの面積。面積が広いとホールド性が高く安定性が上がり、狭ければルースになります。

フォイル(FOIL)

フォイルとは、フィンの内・外の両側面の形状を指します。

流体力学に基づいた美しい曲線がサーフィンの乗り味に影響を与えます。

サーフボード フィンフォイル(Fin Foil)

フォイルの形状にはサイドフィンに使われるFlat Foil(フラットフォイル)、Inside Foil(インサイドフォイル)、センターフィンに使われる50/50 Foil、主にQUAD(4フィン)のリアに使われる80/20 Foilなどがあります。

Flat Foil(フラットフォイル)

Flat Foil フィンの形状

フラットな内側と丸みのある外側を組み合わせたフラットフォイルは、幅広いコンディションに対応。サイドフィンに使われます。

Inside Foil(インサイドフォイル)/ V2 Foil

Inside Foil フィンの形状

丸みのある外面、コンケーブを帯びた内面、前側はラウンド形状で構成される洗練された流体力学的フォイル。

フィンの表面を流れる水の効率を高めたフォイルは、揚力を高め抗力を低減、高いホールド性とスピード性が特徴。

サイドフィンに使われます。

VECTOR IIのVECTOR FOIL(V2 FOILとも呼ばれる)も、このインサイドフォイルと同じ。

50/50 Foil(50/50フォイル)

50/50 Foi フィンの形状

両側が丸みを帯びた形状で両側の水流により、コントロール性と安定性につながります。

TRI (3FIN)のセンターフィンやQUAD (4FIN)のリアフィンに使用されます。

80/20 + 70/30 Foil

80/20 + 70/30 Foil フィンの形状

センターフィンとサイドフィンのパフォーマンスを組み合わせたフォイルはスムーズなレールワーク、スピード性の向上に貢献。幅広いコンディションに対応。QUAD(4フィン)のリアフィンとして使用されます。

各種フィンのマテリアル(素材)について

フィンは、マテリアル(素材)によりフレックス性が異なり、反応やスピード性、制御性能、安定性などに影響します。

このマテリアルがパフォーマンスに与える影響は大きく重要な要素と認識しておきたい。

また、様々な波のコンディションや乗り手の求めるパフォーマンスに応えるために、技術が詰め込まれた様々なマテリアルが準備されています。

フィンの画像「フレックス性」

フレックス性が与える影響について

フィンのフレックス性が与える影響について簡単に紹介します。

フレックスのある(柔らかい)フィン

適度なフレックス性は小波やパワーのない波でターン時のスピードを引きだしてくれます。

感触が柔らかくコントロールがしやすい。柔らかくなればなるほど反応は鈍くなる。

固いフィン

固いフィンはターン時のレスポンス性が高く、正確なスピード制御性能と安定性を可能にします。

サイズのある波、パワーのある波向き。

固さが固くなるほど、波から受ける反発も強くなるのため脚力や高い技術が要求されます。

フィンのマテリアルについて

使用されている素材は、各種マテリアルによって様々ですが、グラスフレックやファイバーグラス、カーボンなどの素材が使用され、緻密な計算のもと波のコンディションや乗り手の求めるパフォーマンスに応えたマテリアルが開発されています。

ボリュームがありますのでここでは紹介できませんが、それぞれのマテリアル構造やパフォーマンスを知ることで、その奥の深さを感じて頂けることでしょう。

FCS、FCS2のフィン選び「テンプレートとマテリアル」 FCS FCS2フィンの選び方(テンプレートとマテリアル) FUTURESフィンの選び方(テンプレートとマテリアル) FUTURESフィンの選び方(テンプレートとマテリアル)

サイズ

フィンにはサイズがあり「XS / S / M / L やその他サイズ表記など」でサイズ分けされております。

フィンサイズに応じた推奨体重がありますので参考にし、自分の体重やレベルに合わせお選びください。

サイズについての詳細は以下よりご覧ください

フィンのサイズと推奨体重 フィンのサイズと推奨体重

フィンシステム

フィンは、サーフボードに直接取り付けられているオンフィンとフィンプラグを使った取り外しが可能なフィンシステムがあります。

現在はFCS、FCS2、FUTURESのフィンシステムが主流となっています。

さらにロングボードやミッドレングスで使われるセンターフィンボックスもあります。

オンフィン(グラスオン)

サーフボードはシェイプされたブランクスにガラスクロス(グラスファイバー)を巻き、樹脂を流してラミネートするわけですが、フィンもこの工程において一緒に取り付けされます。

オンフィン(グラスオン)タイプのサーフボード

昔のボードはこのタイプが多かったが、近年はクラッシック系のロングボードやレトロフィッシュなどに採用されていることがあるものの、取り外しが可能なフィンシステムが主流となっています。

FCS

2点で固定するフィンシステムで、シェア率も高い。

取付はイモネジで締め付け固定します。(イモネジの固定にはフィンキーが必要)サーフボードをオーダーする際には価格的にも多少安く抑えることができるのもメリット。

FCSのフィンプラグは2種類あります。

FCS X-2プラグ

FCSの標準プラグ「FCS X-2」は、2つのプラグで支えるタイプ。

FCS X2フィンプラグ

デッキ側(表側)の付近まで深めに穴を開け埋め込まれておりますので、ヘタリや劣化によりデッキ側のプラグ付近に亀裂が起きやすいというデメリットがあります。

FCS FUSIONプラグ

FCS X-2を一つに繋げたようなFCS FUSIONは、深く穴を開けないのでFCS X-2のデメリットを解消できます。

FCS FUSIONフィンプラグ

クラッシュ時の破損などの強度面では2点に分散できるFCS X-2が強いという話もある!?がクラッシュしたらどのフィンプラグでも逝っちゃいますし、そういう意味では個人的見解としては大差はないと考えます。

もしボードをオーダーすることがあればFCS X-2のデメリットを考えるとこちらのFUSIONがオススメ。

FCSフィンの脱着方法はこちらからご覧ください。

FCS、FUTURESフィンの付け方・外し方(脱着方法)

FCS2

FCS2は、ワンタッチで取り付け可能なフィンシステム。

イモネジによる固定が不要なのでスピーディな脱着が可能。

アダプタータイプのフィンシステム(サーフボード)

ただし、脱着には力がいるというか、慣れというか、ちょっとしたコツが必要。

特に初めての方はコツが分からず結構苦労するかも!?

そんな理由もありサーフボードを傷つけないためにもサーフスタンドや安定した場所にボードを置き脱着した方が好ましい。海に行く際は安定感のあるスタンドなど準備することをお勧めします。

おススメのサーフボード スタンド(ワックスアップスタンド) 用途に応じた おススメのサーフボード スタンド(ワックスアップスタンド)7選

FCS2フィンの脱着方法はこちらからご覧ください。

FCSⅡフィンの付け方・外し方 FCS2フィンの付け方・外し方(脱着方法)/ 動画あり

別売りのFCS TAB インフィルキットを使えばFCSフィンも付けることも可能。

FUTURES(フューチャー)

FCS同様にイモネジによる固定タイプですが、1箇所のみの固定で完了するのでFCSに比べると脱着がスピーディ。

細かいことを言えば、フィンが穴の中にすっぽり収まるのでフィンシステムの中ではオンフィンに近いタイプがFUTURESシステムと考えます。

FUTURE フィンプラグ

一見、弱点がほとんどないとも思えるフィンシステムではありますが、一つだけ注意点があります。

例えばベース幅の広い(プラグの幅より広い)フィンになった場合にフィンの脱着ができません。むりやり脱着してしまえばフィンのエッジでボードを傷つけてしまうので、基本的にはプラグの幅より広いフィンは取り付けできません…というかそのようなフィンは販売されていないはず!?

幅の広いFUTUREフィンを外すのが困難

そんなわけでレトロフィッシュなどベース幅の広いフィンではFUTURESシステムは利用できないということになりますが、心配はご無用、以下のフィンのように着脱ができるようにデザインされたツインフィンが販売されています。

FUTURESフィンの脱着方法はこちらからご覧ください。

FCS、FUTURESフィンの付け方・外し方(脱着方法)

センターフィンボックス

ロングボードやミッドレングスのシングルフィンや2+1(シングルスタビライザー)のセンターフィンに採用されていセンターフィンボックス。

ロングボードのセンターフィン

製造メーカーにより多少デザインの違いはありますが基本的にセンターフィンボックスの規格は同じなので、どのセンターフィンでも取り付け可能。

センターフィンの脱着方法はこちらからご覧ください。

ロングボードのセンターフィンの取り付け方法と位置について ロングボードのセンターフィンの取り付け方と位置について

フィンの本数

サーフボードはフィンの本数でも乗り味が変わります。シングル、ツイン、トライ、2+1、クアッド、ファイブフィンの特徴について紹介します。

シングルフィン

シングルフィンは、トラディショナルなロングボードやミッドレングスに良く採用されています。

センターにフィンが1本だけ付いているタイプで、直線性に優れスピードもつき易く、大きくゆったりとしたターンが特徴。

シングルフィン

ハイパフォーマンスボードと比べると俊敏性は劣りますが、サーフィンの基本とも言えるレールをしっかり使ったターンをマスターするのにシングルフィンは最適です。

クラッシックタイプのボードには、やはり大きめのフィンが相性良い。

ツインフィン

ツインフィンは、大きめのフィンが両サイドに2本ついたタイプ。

回転性に優れ、このツインフィン特有のルース感にハマってしまうファンも多い。反面、安定性が低くコンロールするのが難しい。

ツインフィン(TWIN FIN)

レトロツイン、モダンツインなどがこのタイプになりますが、直進安定性より回転性を求めたフィン形状で、重心の取り方も 難しく、初心者の一本目としては扱いにくくお勧めしません。

トライフィン

トライフィンは、シングルフィンの直線性とツインフィンの回転性を兼ね備えたバランスの取れたタイプでショートやミッドレングスではスタンダードと言って良いでしょう。

トライフィン(3FIN)

バランスが良く無く乗りやすい。

初心者の一本目としてもオススメ。

クアッドフィン

サイドに4つのフィンがついたクアッドフィンは、ショートから派生したクアッドとレトロツインから派生したタイプがある。

テール幅が広いのも特徴でテイクオフも早く、スモールウェーブでも左右に2枚ずつあるフィンによりターン時の加速性もよい。 バックフィンがセンターフィンの役目も果たしてくれるのでツインフィンよりもルースにならずスピードを得ることができる。

クアッドフィン(4FIN)

回転性がよく小波やパワーのない波でもボードを動かしやすいことからも小波に向くタイプのボードが多い。

ファイブフィン(5FIN)

ファイブフィン(5FIN)は、一枚のサーフボードで波のコンディションなどに合わせトライ、クアッドの設定が可能。

フィンの特徴についてはトライフィン、クアッドフィンをご覧ください。

FIVEフィン(5FIN)

2+1(シングルスタビライザー)

2+1(シングルスタビライザー)は、シングルフィンの両サイドに補助的な役目としてスタビライザーと呼ばれる小さめのフィンが付いています。

ロングボードやミッドレングスで採用されています。

2+1フィン(シングルスタビライザー)

センターフィンはシングルフィンでは大きめのフィンを付けるのに対し、比較的小さめのフィンを付けます。

回転の中心が分散されシングルに比べターン性能に優れており、反応良く鋭いターンが可能です。オールラウンド系やハイパフォーマンス系を好むサーファーに人気です。

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