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うまく波に乗れるようになると、つい「どこまで乗れるか」を意識しがちです。
でも、サーフィンにはもうひとつ大切なスキルがあります──それが「プルアウト」。
波の裏へ抜けるこの動作は、安全に降りるためだけでなく、次のゲッティングアウトをスムーズにする上でも欠かせません。
この記事では、初心者が覚えておきたいプルアウトの正しいやり方とタイミングのコツをわかりやすく紹介します。
2008年からサーフショップオーナーとして新品・中古サーフ用品を2500点以上取り扱ってきた経験とサーフアイテムやハウツーなどのサーフィンに特化したウェブマガジンを運営する筆者が、時間をかけて選んだオススメの商品のみを厳選し紹介しています。
プルアウトとは?その必要性とメリット

プルアウトとは、ライディングの終盤で波から安全に抜け出す動作のことです。
サーフィンでは「波に乗る」だけでなく、「どう降りるか」も大切なスキルのひとつ。
危険回避だけでなく、ライディングを自分の判断で終えるためにも欠かせません。
波の状況や周囲の安全を見極めて、的確なタイミングで波を抜けることができれば、次の動作(ゲッティングアウト)にもスムーズにつなげることができます。
プルアウトをマスターすることで得られるメリットはたくさんあります。
たとえば──
- 浅瀬の波打ち際や、掘れやすい危険な波を回避できる
- 他のサーファーとの接触や衝突を防げる
- 波を無理に最後まで乗り切ろうとして転倒を防止できる
- スムーズに沖へ戻れるため、体力消耗を抑えられる
- 前乗りしてしまった場合の回避動作としても使われる
一方で、プルアウトを早く使いすぎると、練習機会を逃すという側面もあります。
岸までまだ距離があるにも関わらず、すぐに波から降りてしまうと、本来なら乗りつなげる波を逃してしまい、スキルアップのチャンスを減らすことにも。
つまり、プルアウトは「やらない」より「使いすぎ」に注意が必要です。
安全と上達、両方のバランスを意識しながら、その場のコンディションに合わせて判断できるようになるのが理想です。
プルアウトのやり方とコツ

プルアウトの基本は、ボトムターンの延長で波の裏へ抜ける動作です。
行きたい方向へボードを傾けながらレールをしっかり入れ、波の裏側へスムーズに抜けていくイメージを持ちましょう。
プルアウトの基本動作
- ライディング中に「この波はここまで」と判断したら、
進行方向とは逆方向(波の裏側)へ軽くターンを入れる。 - 上体のひねりと重心移動で、ボードを傾けながら波の上へ。
- 波の裏へ乗り越えるようにして抜ける。
このとき、焦ってボードを横に振るような操作はNG。
力で回すのではなく、体の傾きとレール(ボードの側面)の使い方で波を越えるようにします。
ボトムターンの5つのポイント
- ボトムターンからの延長で抜ける
波の底(ボトム)からターンを描くように体を傾け、そのまま波の裏へ滑り抜けます。
「降りる・止まる」ではなく、「抜ける」という意識がポイントです。 - 後ろ足に重心をかけてレールを深く入れる
とくにロングボードやミッドレングスの場合、浮力があるためにボード全体を傾けにくく、プルアウトが難しく感じるかもしれません。そんなときは後ろ足(テール側)にしっかり体重をかけて、レールを深く入れてあげることでスムーズに波の裏へ抜けられます。 - ステップバックで安定感を高める
後ろ足を半歩ほど後ろにずらす「ステップバック」も有効です。
テール側に重心を移動させることでボードコントロールがしやすくなり、レールがより波に食い込みやすくなります。 - プルアウトも「スピードがある時の方がやりやすい」
失速した状態だと、ボードが波に引っかかりやすくなり、波に押し戻されたり、巻き込まれやすくなります。
適度なスピードがあるうちに、スッと抜ける方がやりやすい。 - タイミングのポイント
波が崩れ始めてから慌ててプルアウトしようとすると、波のリップに引っかかって転倒の原因になります。ホレた波やサイズのある日は波に巻き込まれたり、ボードが跳ね返る危険があります。
「少し早めに、余裕をもって抜ける」ことが大切です。
「崩れ始める前」= 波のトップが立ち上がり始めた瞬間 に動くのが理想。
慣れるまでは、波の勢いが落ちてきたと感じた瞬間にプルアウトを意識してみましょう。
▶ ボードタイプ別のコツ
- ショートボード:軽く傾けるだけでボードが反応しやすく、比較的スムーズ。
- ロングボード/ミッドレングス:浮力が大きく、波を抜けにくい場合も。
後ろ足にしっかり体重をかけ、レールを深く入れて波の裏へ乗り越えるように意識。
さらに、**テール側へ半歩下がる(ステップバック)**ことでよりスムーズに抜けられます。
ここまでのポイントまとめ
| ポイント | 重要な理由 |
|---|---|
| 後ろ足に重心をかける | レールが入り波の裏へ抜けやすい |
| ステップバックを使う | テールが利き、コントロール力UP |
| スピードがあるうちに抜ける | 押し戻されずスムーズに処理できる |
| 崩れる前に判断する | 危険回避&ボードが跳ね返る事故防止 |
よくある失敗と修正ポイント

プルアウトは動作自体はシンプルですが、感覚がつかめるまでは失敗しやすいポイントがあります。
ここでは初心者〜中級者がつまずきやすい点と、その改善方法を整理します。
失敗①:波が崩れてからプルアウトしようとしてしまう
よくあるパターン
「まだいけるかな…」と粘りすぎてしまう
結果、波に巻かれたり、板が跳ね返されたりして危険
修正のポイント
- プルアウトは「早めの判断」が基本
- 波がトップ(リップ)で割れる“少し前”に動き出す
- ライディング中に 常に前方の波の形を観察 するクセをつける
プルアウトは「逃げ」ではなく「選択」。
早めに動けるほど、安全に・スムーズに抜けられます。
失敗②:スピードが足りず、波を越えられない
よくあるパターン
波の裏へ抜ける瞬間に減速してしまう
結果、白波に押し戻されたり巻かれたりする
修正のポイント
- プルアウトにも“スピード”が必要
- 波を越える瞬間は 軽く加速するイメージで前へ
- 失速させないために 重心はやや前→その後テール側へ
小さい加速 → そこからテールに重心 → レールが入り波の裏へ抜ける
という「順番」を意識するだけで成功率が大きく変わります。
失敗③:上半身だけでボードをねじろうとする
よくあるパターン
肩や腕だけでボードを回そうとしてしまう
ボードが思うように動かず不安定に
修正のポイント
- プルアウトは ボトムターンの延長線 と考える
- テールにしっかり重心を置く → レールが入り波をまたぐ
- 体ごと“傾けていく”のが正しい動作
上半身だけをひねる → ×
全身の重心でボードを操作する → ◎
まとめ(このセクションのポイント)
| 覚えることはこの3つだけ |
|---|
| ① プルアウトは「早めの判断」 |
| ② 波を越える直前は失速させない(スピードを少し残す) |
| ③ ボードは“ねじらない”、重心で傾けて抜ける |
参考動画①:状況に応じた3つのプルアウト
この動画では、波の状況に合わせて使い分ける3種類のプルアウトを紹介しています。
| 種類 | どんな時に使う? | ポイント |
|---|---|---|
| ① 通常のプルアウト | 波が終わった時 / 自然に降りる時 | ボトムターンの延長で、そのまま波の裏へ抜ける |
| ② アイランド・プルアウト | 大きな波が突然崩れた時 | 波の中を突き抜けて裏側に出る動きが必要になる |
| ③ ジャンピング・プルアウト | スピードがついた状態で波が一気に閉じる時 | **板と自分を分離させて先に“飛ぶ”**のが安全 |
この動画で押さえておきたいポイント
- プルアウトは「止まる動作」ではなく「抜ける動作」
- 波が崩れる前に判断することで、板が跳ね返ってくる事故を防げる
- スピードが残っていると、より軽い力で裏側へ抜けられる
「迷ったら早めにプルアウト」が安全の基本
参考動画②:ロングでも“板を流さない”自信がつくプルアウト徹底解説
この動画では、ロングでも板をコントロールできるプルアウトの考え方と動作が学べます。
ポイントは3つ:
- トリム → ステップバック → テール荷重 → レールで波を“斬る”
└ プルアウトは「回す」ではなく、レールで抜ける動作。 - 波の状況に合わせて止め方を変える
・フェイス:波が閉じる前に早めにレールで抜ける
・スープが弱い:基本と同じくレールで“切り抜け”
・スープが強い/浅い:回さず、座って止める判断が大切 - “板を流さない”意識がサーフィン全体の自信につながる
└ これは安全だけでなく、次のライディングの質にも影響。
キーワードは「レールで斬る・早めの判断・板を手放さない」
まとめ

プルアウトは、ただライディングを終わらせるための動きではなく、安全にサーフィンを楽しみながら、次の一本へつなげるための大切なスキルです。
- 波が崩れる前に判断する
- スピードがあるうちに抜ける
- テール荷重とレールワークを使う
この3つを意識するだけで、無理なく、スムーズにプルアウトできるようになります。
まずは今日の海で、一度だけでいいので「意識してプルアウト」してみてください。
それだけで、サーフボードのコントロール感覚が大きく変わります。
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サーフィンマガジン「73NAVI」 