サーフィン上達に役立つ「波の基礎知識」

波の各名称(ピーク、フェイス、リップ、ショルダー、カール、ボトム)

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サーフィンの主役は「波」

波に対する知識を深めることは、サーフィンの上達にもつながります。

波は、風向き、潮の満ち引き・潮位、海底の地形などの影響により波のコンディションも常に変化し続けます。

風、潮、地形が波にどのように影響するか理解することで、波の変化を予測できるようになります。

もちろん、基本的な考え方は理解できても自然相手なので、そう単純な話ではありませんが、まず基本を理解して、普段から観察し予測する癖をつけることで、波予測の精度が上がってきまます。

いかに、いい波を選び、波のパワーをサーフボードに伝え、波に逆らわずシンクロできるか、これこそがサーフィンの醍醐味。波について基本的なことから波のパワーゾーンまで紹介していますので、サーフィン上達のための基礎知識の一つとして学びの機会にしていただけたら幸いです。

筆者は、2008年からサーフショップオーナーとして新品・中古サーフ用品を2500点以上取り扱ってきた経験をもとにサーフアイテムやハウツーなどのサーフィンに特化したウェブマガジンを運営しています。

サーフィンにおける「波の各名称」

波の各名称(ピーク、フェイス、リップ、ショルダー、カール、ボトム)

サーフィンの主役は「波」です。波の力を最大限に使うために…

波を知るための第一歩として、波の名称、特徴など一緒に覚えておきたい。

ブレイクとは

ブレイクとは、波が海面で崩れる(割れる)ことを指します。

波がブレークすると、サーファーはその波に乗り、波の力を利用してサーフィンを楽しむことができます。波がブレークする瞬間は、サーファーにとって重要であり、適切なタイミングで波に乗ることが成功の鍵となります。波がブレークする場所や形態によって、サーフィンの難易度や楽しみ方も異なります。

ピークとは

ピークとは、波が一番高く降起し、初めにブレイクする部分。

波のピークとは、波が最も高くなり、最も力強く崩れる部分を指します。

ピークは通常、波が最初に形成される場所であり、その後波が外側や内側に広がっていきます。波のピークは、サーファーが波に乗る際の適切な位置やタイミングを見極めるのに役立ちます。

波のピークに近い位置にポジショニングすることがポイントで波がブレークする瞬間を正確に捉えて波に乗ります。

トップとは

トップとは、波の斜面の上部。

トップは、前述のピーク(波が一番高く降起し、初めにブレイクする部分)を指す場合もある。

ボトムとは

ボトムとは、波の斜面の下部。波が起き上がってくる底の部分。

波が一番力強い場所は…波が起き上がってくるボトム(波の1番下)とも言われている。

波の力を最大限に使うには、ボトムのエネルギーを生かすことがポイントとなる。

リップとは

リップとは、波の上部から勢いよく飛んでいる部分(波が崩れる際にできる泡立った部分や波の先端のエッジ)を指します。

水深が深いところから急に浅いところにさしかかるような地形の場所で現れる。

波がブレークして崩れる際、その先端部分が波が前方に進む速度に追いつかずに押し出され、泡立ちながら立ち上がることがあります。この泡立った部分やエッジのことを一般的に「リップ」と呼びます。

サーファーが波のリップに乗ることで、波の力を利用して加速したりトリックを実行したりエキサイティングなライディングを楽しむことができます。

また、リップは波の中でサーファーが向かう方向を決定する上での目印にもなります。

フェイスとは

フェイスとは、波の上部(トップ)から下部(ボトム)までの斜面。

サーファーが波に乗ってサーフィンを楽しむための主要な領域です。

波のパワーを受けてフェイスを上下に乗りつないでいくテクニックをアップス&ダウンズといい、ライディングの基本となります。

ショルダーとは

ショルダーとは、これからブレイクする波の盛り上がった部分。

波のピークから広がるショルダーは、より長く滑走可能な波を提供し、サーファーに乗りやすい場所となります。

一般的に、波のショルダーがより長く伸びているほど、サーファーはより長いライドを楽しむことができます。

スープとは

スープとは、波が崩れた後の砕けて白く泡立った部分。

波のスープは、波のフェイスや波のリップの後方に位置し、サーファーが波に乗る際に通過する領域です。波のスープは、水面が乱れており、波に乗るための理想的なエネルギーが欠如しているため、サーファーは速度を失ったり、波のコントロールが難しくなります。

一方で、波のスープは、初心者のサーファー波乗りの練習や、テイクオフの練習に適している場合もあります。

パワーゾーンとは

サーフィンの波の基礎知識

下の画像の丸く囲った黄色の部分がパワーゾーンです。

波のピーク(トップ)や、黄色い丸の部分のボトムの部分だけをパワーゾーンとも言います。

このパワーゾーンを活かしながらライディングすることで、波から最も大きいパワーをボードに伝えることが可能になりスピードを生み出してくれます。

詳しくはこちらで詳しく解説していますのでご覧ください。

サーフィン「波のパワーゾーン」 トッププロサーファーが意識する「波のパワーゾーン」の知識と乗り方【サーフィン】

レギュラーの波とグーフィーの波とは

レギュラー&グーフィーの波

サーフィンでは、波の崩れていく方向に乗っていくことで、長く波に乗ることができます。

  • レギュラーの波とは:岸から見て右から左へ崩れて行く波
  • グーフィーの波とは:岸から見て左から右に崩れて行く波

下の画像の波は、三角波で波の中心から左側に割れていくレギュラーの波と右側に割れていくグーフィーの波が一つの波で同時に割れています。

この場合、レギュラー、グーフィーのそれぞれのピークから狙って乗ることができます。

この時、黄色い矢印の割れていく方向(レギューラーなら左側へ、グーフィーなら右側へ)へ向かって波に乗ります。

レギュラースタンスとグーフィースタンス

ライディングのスタンスについても少し紹介しておきます。

サーフィンのスタンスには以下の2種類あります。

  • レギュラースタンスとは:左足が前になるスタンスのこと
  • グーフィースタンスとは:右足が前になるスタンスのこと

お箸やペンを持つときや、野球のバッターの右利き左利きのようなものです。自分のやりやすいスタンスでサーフィンします。

サーフィンでは、波に対して向かい合って波に乗る場合をフロントサイド、背を向けて波に乗る場合をバックサイドといいます。

レギュラー波の場合、レギュラースタンスのサーファーは波に向かい合っているのでフロントサイド、グーフィースタンスのサーファーは、バックサイドとなります。

グーフィーの波の場合は、これと逆でレギュラースタンスのサーファーは波を背にするのでバックサイド、グーフィースタンスのサーファーは、向かい合って波に乗るのでフロントサイドとなります。

HOW TO SURFING!(初心者・ビギナーの為のサーフィン入門編) サーフィン HOW TO ハウツー【初心者・入門編】

波の割れ方

サーフィンでは、切れた波、早い波、ダンパー、ワイド、厚い波、ショアブレイクというような表現で波の特徴を話します。それぞれどんな特徴の波なのか簡単にまとめましたのでご紹介します。

切れた波とは

切れた波とは、ピークからショルダーへ順序よく割れている波。サーフィンに最も適した波。

画像の波はグーフィーの波で、岸から見て左から右に徐々に割れているのがわかります。

ホレた波(ホローな波)とは

ホレた波・ホローな波

ホレた波・ホローな波とは、掘れて巻き上げた波。

斜面が急な波のこと。波が巻き上がるようにカールしている波。チューブにある空洞。

少しハードな波で、波に乗るには難しい波の印象がある。

速い波とは

早い波

速い波とは、「切れた波」同様にピークからショルダーへ順序よく割れる波ですが、この割れる速度が速い波。

かなり速く割れるので、波の割れるスピードに合わせて加速できる上級者やエキスパートでないと乗りこなせない。

厚い波とは

厚い波とは、波の面が厚く斜面がなだらか。割れづらい、掘れていない波。トロい波、トロ厚い波なども、同じような波を指す。

ショートボードには不向き。

適度に厚い波はロングボード向きで乗りやすいが、あまり厚すぎるとロングでもテイクオフできず乗れない。

ワイドな波・ダンパーとは

ワイドな波 / ダンパー

ワイドな波・ダンパーとは、横につながった波で、一気(同時)に崩れてしまう波で、横に乗りつなぐことがでずサーフィンには向かない。つながった波ともという。

ダンパーもほぼ同じような波のことを指しますが、一気に掘れてボトムに叩きつけるような波がこれにあたる。

チューブ波(バレル)とは

波、チューブライディング

チューブ波(バレル)とは、筒状の空洞ができた掘れた波。

この中を潜り波を乗りつなぐことをチューブライディングという。

ショアブレイクとは

ショアとは、岸や陸のことを指します。

つまり、ショアブレイクとは、波打ち際など、岸の近くの浅いところでブレイクする波のこと。

(写真画像は砂浜の際(きわ)過ぎる、少々極端な例で流石にこんなところで乗る方はいませんが、あくまでもイメージということで…ご了承ください。)

ショアブレイクは、浅いとことでワイドな波やダンパーのようなパワーのある波が一気に崩れてくることが多いので、乗りにくくサーフィンには向かない波です。

波の大小に関わらず、ショアブレイクは危険も潜んでいます。

浅瀬ということもありパーリングした際に跳ね返ってきたサーフボードやフィンでケガをする事故やボード破損にもつながりやすいので注意したい。

風向きが波質に影響する

風は波のコンディションに大きく影響します。

サーフィンに適した波は、海面がザワつくことなくクリーンで、波のフェイスがまとまっていること。

風向きによる波の良し悪しがわかっていれば、サーフィンに行く時間帯やサーフポイント選びに役立てることができるようになります。

無風とは

無風とは、風がない状態を指します。

海面がザワつくことなく、波のフェイスがまとまりやすくなります。

この状態を面ツルクリーンなどと表現します。

サーフィンにとっては好ましい条件と言われています。

オフショアとは

オンショア

オフショアとは、陸側から沖に向かって吹く風のことを、オフショアといいます。

オフショアの場合、比較的、風の弱い場合であれば、海面もクリーンで波のフェイスもまとまりやすくサーフィンにも向きと言われています。

ただし、風力が強くなればなるほど波が割れにくくなったり、波に乗る際も、向かい風となりサーフボードがあおられたりや身体に風を受けてしまうため、波に乗りにくくなります。

カレントに注意

また、強風のオフショアの場合、沖に向かって吹く強風の影響により、沖に向かって強いカレント(流れ)が発生し沖に流されやすくなるので、岸からの距離感は常に把握し沖に流されないように注意したい。

カレント等の詳細は内容や対処方法はこちらで紹介しています。

サーフィンのための「波と気象」離岸流や高波、落雷の危険性と対処方法

オンショアとは

オフショア

オンショア、沖側から陸に向かって吹く風のことを、オンショアといいます。

オンショアでは、海面がザワつき(ガタつき)、波のフェイスが乱れるなどサーフィンには向かないコンディションとなります。

とはいえ、風が弱い場合は海面がザワつく程度で、サーフィンが可能なコンディションの場合も少なくありません。

ざわついた海面

一方、風が強くなると、さらに海面が乱れグチャグチャになるなど、サーフィンができないコンディションになります。

このような状態を、ジャンクコンディションや、絶えず不規則に変化している状態という意味のチョッピーなどと表現をしたりします。

海面、ジャンクコンディション、チョッピー

サイド、サイドオン、サイドオフとは

海の風と波、サイド、サイドオン、サイドオフ

風は、オンショア、オフショアだけでなく、サイドのから吹く風の場合もあります。

  • サイドとは:海岸線に対して水平に吹く横からの風」
  • サイドオフとは:陸から沖へ、ややサイド気味(斜め)に吹く風」
  • サイドオンとは:沖から岸へ、ややサイド気味(斜め)に吹く風」

この中で、風力が同じ条件とした場合に、コンディションが良い順番に並べる

  • サイドオフ
  • サイド
  • サイドオン

となり、オフショアに近い風であればあるほど、波のコンディションは良くなる傾向にあります。

風の向きや強さ、波の高さなどをチェックするアプリはこちらで紹介していますので、あわせてお読みください。

サーフィン波情報にオススメの2つの無料アプリWindyと潮見表 サーフィン波情報にオススメの2つの無料アプリWindyと潮見表

潮の満ち引きが波の割れ方に影響する

潮の満ち引きも波のコンディションに大きく影響します。

潮の満ち引きが影響する一般的な傾向を紹介します。

ロータイドとは

干潮(ロータイド)、または干潮に近い時間帯は、「速い波」や「ワイドな波」になりやすい。

ただし、波の面が厚く斜面がなだらかな「厚い波」「トロい波」「トロ厚い波」のサーフポイントや潮位が高い時期は、潮が引いている(ロータイド)ときのほうが、波がホレ過ぎず、適度に割れて乗りやすい波になります。

ハイタイドとは

満潮(ハイタイド)、または満潮に近い時間帯は、波が厚く割れにくくなる。

ただし、「速い波」「ワイドな波」が多いポイントや潮位の低い時期は、潮が満ちている(満潮、または満潮に近い)時のほうが、「切れた波」になりやすい。

ミドルタイドとは

干潮〜満潮、あるいは満潮〜干潮の干満の中間(ミドルタイド)の時間帯は、潮位が大きく変化し、潮の動きが活発になるので、波が起きやすく、一般的にサーフィンには良い時間帯と言えます。

普段からサーフポイントの波を観察する

潮の満ち引きが影響する一般的な波の割れ方の傾向を紹介しましたが、あくまでも傾向であって、必ずしもこれだけでは判断できるものではありません。

それぞれのポイントの海底の地形、波質などにより潮の影響のしかたも変わってきます。

海の潮は干潮、満潮だけでなく、大潮、小潮、中潮、長潮、若潮や季節・時期による潮位の高さなどの要因も考慮しなければいけません。

普段から各サーフポイントの波の特徴や変化を観察することで、潮の干満との相性も分かってきますので、コンディションの予測やサーフィンに行く時間帯の調整に役立てください。

海底の地形

海底の地形で波質は変化します。ここではビーチとリーフ(岩や珊瑚)の地形が影響する波質について紹介します。

ビーチブレイクとは

波とビーチブレイク

ビーチブレイクとは、海底が砂で覆われた波のこと。

波はサンドバーという海流や河口などの川の流れでできた砂だまりによって引き起こされる。

海底は砂だまりのため、地形が変化し、その時々で波質も変わってくる。

ビーチにはサンドバーがあちこちに数多くあり複数のブレイクが発生するため、多くのサーファーが入っても分散してサーフィンを楽しむことができる。

海底が砂なのでリーフに比べ安全で初心者にも安心。

リーフブレイクとは

波とリーフブレイク

リーフブレイクとは、海底がリーフ(岩や珊瑚)で覆われた波のこと。

海底はリーフのため、地形が一定で波も規則正しく割れる。緩やかなサンドバーに比べ、水深の差もはっきりしているので、波質も良く、パワーのある波が多い。

リーフブレークは、波が割れるところが限られるため、サーファーが集中し混雑しやすい。

海底が岩や珊瑚なので足を切るなどのケガやボード破損などのリスクがあるため、初心者には向かない。

干潮時や波が大きい場合、ポイントによっては岩が飛び出ているところなどもあり、地形や干満のコンディションを知らないとリスクも上がる。

ポイントブレイクとは

ポイントブレイクとは、岬でブレイクするや常に同じポイントでブレイクする波のこと。

主に海底が岩やサンゴの海で発生する。