PUとEPSサーフボード買うならどっち!?特性とメンテナンス性を比較 | サーフィンマガジン「73NAVI(なみなび)」

PUとEPSサーフボード買うならどっち!?特性とメンテナンス性を比較

PUとEPSサーフボード買うならどっち!?特性とメンテナンス性を比較

PUとEPSサーフボードってどう違うの!?素材や構造、特徴、EPSボードが高い理由、メンテナンス性、ランニングコストなどのメリット、デメリットについて紹介。サーフボードを購入する前に知っておきたい、いや知っておくだけでサーフボード選びが変わってくるかもしれませんので是非ご覧ください。

1)PUとEPSボードの特性とメンテナンス性を比較

サーフィンしている方ならサーフボードで、PUのボードとかEPSのボードとか聞いたことあると思うのですが、ご存じですか?

サーフィンを始めたばかりの初心者や何となく聞き流していた方など、よく分かっていない方の参考になればと記事にすることにしました。

サーフボードを購入する際にどの素材のボードを選ぶかで、購入価格も違いますし、修理費用などその後のランニングコストにも影響してきますので知っておいて損はありません。

では、PU、EPSボードについて詳しく説明する前に、PU、EPSボードってなんのこと!?って方のために、簡単に説明しますと、PU、EPSはサーフボードのブランクス(ボードの中身に使われている素材で心材、フォームとも呼ばれている)を指します。

PUボードとは

PUボード「CHRISTENSON FLAT TRACKER」

素材・構造

PUとはポリウレタンのことですが、ポリウレタンと言ってもその種類は様々で特性・用途も異なります。サーフボードに使われているのは硬質の発泡ポリウレタンというもので生成の過程において、発泡剤を混ぜ合わせた発泡状のフォームのことです。これにガラスクロス(繊維)を巻きポリエステル樹脂で固めたものがPUボードです。余談ですが、これらのレジン(ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂など)に、ガラス繊維やカーボン繊維などを混ぜ、強度を向上させたものをFRPと言います。ちなみにガラスクロスを使っている場合、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)、カーボンクロスをつかっている場合CFRP(カーボン繊維強化プラスチック)といいます。
※レジンとは樹脂のこと。

特徴

一般的にサーフボードと言えばPUボードと言われるほど歴史も長く、今なお主流の素材となっています。この素材のサーフボードの特徴として、EPSとの比較になりますが、「しなりが良い」「EPSより多少重いですがいい意味で絶妙な重さのボード、スピード性、安定性が良い」「価格が安い」「リペアが容易、材料代・リペア代も安い」。

EPSボードとは

EPSボード「RIKKA FEMME(リッカファム)×Colleen Wikcox(コリーン・ウィルコックス) 」

素材・構造

EPSとはエクスパンダブルポリスチレンのことで、みなさんもよくご存知の発泡スチロールのことです。ただ、サーフボードに使用されているものは、サーフボード用として特別に開発されたEPS素材ですので硬さビーズの粒の大きさ、密度などが異なります。これにガラスクロス(繊維)を巻きエポキシ樹脂で固めたものがEPSボードです。リペアをする際にEPSボードにポリエステル樹脂を使って修理されている方が稀にいらっしゃるようですが、中のEPSフォームが溶けて悲惨な状態になってしまいますので絶対にやめてくださいね!

特徴

歴史は短いが、ボード素材などの改良・進化により年々人気が上がってきているEPSボード。この素材のサーフボードの特徴として、PUとの比較になりますが、「軽量で高浮力」「強度、耐久性に優れている」「凹みにくい」「価格が高い」「リペアの難易度が高い、材料代・リペア代も高くなる」「黄ばみやすい」。

モールド系ボードについて

EPSボードにはモールド系のボードもあります。素材はEPS(ポリスチレン)のブランクスの上にエポキシ樹脂&PCVなどでコートされたボードです。代表的なところでNSP、BIC、サーフテック、プレセボなど外側が堅い殻で覆われたブランドのボードがあります。なお、モールド系のボードもEPS素材を使っていますが、機械により成型、プレスされるなど構造の違いや機械による大量生産が可能なため、低価格での販売が可能となっています。

なかでもサーフテックのTUFLITEやプレセボなどは軽量で、PUボードと同様の造りのガラスクロスを巻きエポキシ樹脂で固めたEPSボードと軽量という点では差がないといえます。

EPSモールドボード「ALMERRIC Flyer フライヤー サーフテックタフライト」

EPSモールドボード「Placebo TABLETⅡ」

BICやNSPなどはEPSブランクスですが、構造が異なりPUと同等、または重いものもあります。衝撃にかなり強く丈夫。ただし固い分、パフォーマンスに影響する「しなり」がほとんどありません。モールドボードといっても、それぞれメーカーやモデル等により構造、強度、特徴などの違いがあります。

EPSモールドボード「NSP Surfbetty」

PUとEPSボードで「よくある疑問点」

EPSボードはPUボードに比べどのくらい軽いの?

メーカー毎の素材や構造によっても違いはありますので、参考値としてご紹介しますが、EPSはPUに比べ約12%前後軽いようです。これはブランクスではなく、完成されさサーフボードでの比較値です。なお、EPSでもモールド系のボードはメーカー等によりそれぞれ構造・仕様が異なりますのでここでは割愛します。

PUは水を吸いやすく、EPSは水を吸わない!?

PUフォーム(ボードの中身に使われている素材)は水を吸います。水に弱いので、クラッシュなど破損したら直ちに海から上がってしっかりリペアしましょう。浸水の可能性のある傷がないか日頃から点検しリペアなどのメンテナンスに心がけてください。一方、EPSフォームは水に強い、吸わないなんて言われたりしますが、確かに発泡スチロールから想像するとなんとなくそんな気はするのですが、EPSボードでも水を吸います。恐らくビーズ自体は水を吸わないようなのですが、ビーズとビーズの隙間に水が入り込み想像以上に染み込んでいます。ですので、サーフボードのフォームはPUでもEPSでも水は染み込むもの!と理解しておくのが正解です。

EPSボードの修理(リペア)代が高いのはなぜ?

EPSのボードはリペア代が高いなんて言われていますが、実際にリペアショップに修理依頼すると、PUボードに比べ高額になります。理由として2つあります。材料費そのものが高いこと。EPSのレジン(樹脂)にはエポキシ樹脂が使われており、PUに使われるポリエステル樹脂に比べ高価、価格にして2倍くらい。フォームもPUよりEPSの方が高いです。新品で購入する際に同じモデルのボードでPUよりEPS仕様のボード高いのは素材そのもののコストによるものが大きいでしょう。もう一つは技術的な面と手間が掛かること。

自分でセルフリペアされる場合も、エポキシ樹脂は硬化も遅く時間が掛かります。レジンと硬化剤との割合もPU以上にシビアなのでしっかり計量する必要があります。綺麗に仕上げるという面でもPUより難易度が高くなり、セルフリペア向きとは言えません。傷やクラッシュした場合は自分で修理しようとお考えの方はPUボードをお勧めします。なお、極小さな小傷程度のリペアをソーラーレズ・エポキシを使い簡易的なセルフリペアをするくらいならPUと手間ひまの差はありません。

EPSボードは丈夫!?

EPSボードは丈夫という話を耳にしますが、確かにPUのボードに比べ樹脂が硬く丈夫なので壊れにくいというのは間違いではありませんが、サーフボードに関して言えば、丈夫というほどでもありません。サーフィン中や移動中に何かにぶつけたりすれば、PUボード同様に簡単に破損します。衝撃に対する差は言うほど無いので丈夫だからEPSボードを選ぶという考えは意味ありません。モールドのボードに関しては、NSPやBICなどの衝撃に結構強い丈夫なボードもあります。ただしプレセボやサーフテックのタフライトなどはやや丈夫ではあるものの意外と簡単に破損します。

EPSボードは熱に弱い!?

EPSのボードはPUのボードに比べ熱に弱いというのは正しいです。中の芯材のEPSブランクスにしても、エポキシ樹脂にしてもPUボードに比べると耐熱温度が低いというのが理由です。炎天下の中、窓を閉め切った車内に長時間入れっぱなしにしたり、ビーチに出しっぱなしにしたり…というのはサーフボードの剥離や劣化の原因となります。すぐに影響が出なかったとしても、このような悪条件で使われているボードは劣化も早く寿命が短くなることは間違い無いでしょう。なお、PUはEPSに比べて耐熱性はありますが、PUなら安心・大丈夫というわけではありません。PUボードも同様に劣化や剥離の原因となることに変わりはありませんので、基本的にサーフボードは素材に関わらず熱に弱いと考え取り扱うようにしてください。

サーフボードの重さがサーフィンにどのように影響するの?

同じサイズ・ボリューム(容積)のボードのPU/EPSのボードだった場合、重さという面ではEPSが軽いのでその分浮きやすくなるので浮力感もあります。サーフィンは波の面をアップダウン(降りたり登ったり)を繰り返してていくのり繋いでいくわけで波から押されるパワーだけでなく、当然のことながら重力の影響も受けます。重ければスピード性も高くなり、特にビッグウェーブなどではボードの適度な重さが生きてきます。重さがスピード性、安定性にも繋がってきます。他にも風などの影響を受けにくいレールを入れやすい、ジャンクなコンディションにも対応しやすいと言ったメリットやサーフィン時のパドリングの漕ぎ出しが遅くなり、またパワーも必要になる、操縦性・反応が落ちるなどのデメリットもあります。

逆に軽いことのメリットとして初速の速さがあります。パドリング時の漕ぎ出しやテイクオフから初速反応は軽さが生きます。軽い分、パドリングでも漕ぎ出しに小さなパワーでも軽快に漕ぎ出せ素早くトップスピードに到達できます。軽い分反応もよく操縦性・反応が良いで小波に向いているとも言われています。デメリットとして、風などの影響を受けやすい、ジャンクなコンディションは得意でない、スピード性、安定感は低いなどがあります。

理論的にはこんな感じですが、あとはサーフィンスタイルや好みの問題という部分も大きいので実際にサーフィンして自分の好みはどちらか判断したり、波のコンディションに合わせ上手に使い分けて楽しむと良いでしょう。